2012年1月22日日曜日

「はじめまして」

人間科学部 教授 鈴木英鷹

 平成23年4月から人間科学部で精神医学関連科目を教えています。私はこれまでに理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士など国家資格を取得する医療福祉系の大学で精神保健学,精神医学を担当してきました.これらの学校では入学時のんびりとしていた学生も卒業の頃には国家試験のため顔が変わります。一生の内、必死に勉強することは後の人生の歩みにおいて大切な体験と考えますので、本学の学生に対して真剣に学ぶことの手伝いを如何にさせていただくかを模索中です。研究面では大阪大学大学院医学研究科、大阪大学蛋白質研究所ではアルツハイマー病の病因を研究テーマとしていました。一般大学に移ってからは設備などの制約もあり研究の方向を変え,主に日本における精神医学史をテーマに,古代か� ��近代まで幅広く淡々と行っています.精神医学史は患者の処遇史であります。輪廻転生の思想によれば、過去の出来事は現在の我々の行ったことであり、過去の過ちは我々の過ちであるが故に、過去の失敗を研究し現在に繋げることが歴史研究の目的と考えています。

 私は31歳のとき不思議な縁で東洋医学の食事療法(食養)に興味を持つようになりました。東洋医学の根本原理は陰陽です。この世の中は天と地、夜と昼、男と女など、陰陽でできているという考えです。この世の中に生きている人間も同じく、陰(こころ)と陽(からだ)でできています。さらに考えると陰陽という二に分かれる前は一であり、この一を大極、無限、神といいます。一日は陰である夜の0時から始まるように、この世の中は陰の世界から始まり、陰(こころ)が先で陽(からだ)が後であることが解かります。精神の状態が肉体に反映することは、心配事があると胃に穴のあく胃潰瘍などの心身症をみても理解できます。また小児の心身症の一例では、夫婦の仲が悪いと子供が頻回の原因不明の発熱をすることが挙げられます。これ などは夫婦の間で心の摩擦があると、木が擦れあって火が生まれるが如く、子供が発熱をきたし、夫婦が仲直りすると解熱するというものです。このように親子、夫婦、他人とも仲良く丸く治めることが大切で、人間の顔、目、耳、鼻の穴、口いずれもが丸く創られています。

 また「親孝行できる人は何でもできます」は正に至言であり、世の為、人の為となる教育が必要です。そうでなければ善悪の判断がつかない人間が学校教育でつくられます。人間は陰(こころ)と陽(からだ)からできている訳ですから、健全な青少年の発達に対し、陰の立場から仏教の十善戒の如く「正しい行い、正しく生きる」事を教育することが必要です。陽の立場からは「食とは人を良くすると書く」が如く東洋医学では食育の重要性を指摘しています。昔、「まろやかな」人となるようにと、和氣清麻呂のように名前に麻呂が入っていました。本学においても、まろやかな人材育成に寄与したいものです。どうぞ宜しくお願い致します。

 

【Profile】
鈴木 英鷹 
◆最終学歴:大阪大学大学院医学研究科修了(精神神経科学)
◆学位:医学博士(大阪大学)
◆現職:帝塚山学院大学人間科学部心理学科 教授
◆担当科目:精神医学,精神保健,精神医学特講,人間と文化E,演習A
◆主たる業績:
◇著書 鈴木英鷹:精神保健学第10版.清風堂書店,2011
◇研究論文
鈴木英鷹ほか:古代の日本人の自殺について.精神医学53:191-196(2011)
鈴木英鷹:奈良から平安初期における日本人の自殺.日本医事新報4517:95-98(2010)
鈴木英鷹:古代の多産.産科と婦人科77:1245-1249(2010)
本多義治,鈴木英鷹ほか:地方都市精神病院における作業療法の草分け(大正初期における七山病院の取り組み).精神神経学雑誌111:1047-1054(2009)
◇資格・免許
医師免許(厚生労働省) 精神保健指定医(厚生労働省)

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