2012年5月19日土曜日


私たちの研究室は「野生生物のハビタット選択」を研究の中心テーマにしています。野生生物の保全にとって最低限必要な情報は、ターゲットにしている生物種の分布を知ることです。しかし、どんなに時間と労力を費やして動物や植物を探し、発見した場所の記録を集めてみても、その種に属するすべての個体の分布記録は得られるべくもありません。時間と労力の問題だけでなく、生物のほうにも問題があります。生物は増殖と死亡、移動を繰り返す「個体群」として存在しています。つまり、生物個体群の分布は常に変動しているのです。個体群が絶滅してしまう事もありますし、分布が拡大することもあります。したがって、個々の生物を発見した場所の記録を集めるだけでは不十分で、その記録をもとに、どんな条件 の環境がそろっていれば、生物集団が継続的に存在できるのかを明らかにし、そんな場所がどこに存在するのかを地図上に描けるようになる必要があります。

2012年5月17日木曜日


   テレビ朝日系の報道番組「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスター(57)が2012年3月11日の原発事故特別番組で、「圧力がかかって番組を切られても本望」などと語り、波紋を広げている。古館氏の原発報道に対する強い意気込みを反映したものとみられるが、発言が唐突なだけに、視聴者の間には戸惑いも広がっているようだ。

津波の前に配管断裂起きていた可能性追及できず後悔

   3月11日夜に約2時間20分にわたって放送された特番は、古館氏と歌手の長渕剛さんが東京電力福島第1原発の20キロ圏内の様子を伝えるのが主な内容だ。古館氏は、津波で営業休止を余儀なくされている三陸鉄道の三陸駅(岩手県大船渡市)から生中継で出演し、番組の締めくくりのコメントで述べた内容が注目されている。

   古館氏によると、今回の特番について「後悔していること」が二つあるといい、ひとつが、

2012年5月15日火曜日


●タロット占法について
まずは占う
 タロットカードの枚数は大アルカナ22枚+小アルカナ56枚。計78枚である。タロットで占いを行うには、これら78枚の意味するところを知り、習熟しなければならない。これがまた、途方も無く気の遠くなるような作業なのだ。何故ならこの作業は、タロットを扱うものとして生きる限りは、その生涯を通して行わなければならないものだからだ。
 タロットの解説書を見てみると、1枚のカードに対して数十個の意味が書かれている。少なく見積もって15個としても、15×78=1170もの意味を覚えなければならなくなる。では、苦労してでも1170の意味を覚えれば、それで終わりなのだろうか?
 甘い!
 我々が行う� �業とは、解説書に書かれているタロットの意味を暗記することではなく、例えば分厚い国語辞典のア行の単語からワ行の単語までの全てを、タロット78枚のいずれかに割り当てていくような代物なのだ。勿論その国語辞典が終わったとしても作業は完了しない。次ぎから次ぎへとタロットへ割り当てるべき事象は湧いてくるのだ。こんな作業、一生涯かかっても終わるはずが無い!
 なので、カードの意味するところの学習は、タロットの使い手が今後ゆっくりと学んでいけば良い。
 占いを覚えたければ、カードを覚えるよりも、まずは解説書を片手にして占ってみることだ。

 タロットを用いる占いは、占い師各々によって多くの方法が実践されている。占う前の準備から、シャッフルの方法、スプレッドの仕方、

リ� ��ディングに至るまで、10人の占い師がいれば、10様の仕方がある。
 占いに関する方法や手順は、占い師自身が最もしっくりくる方法を探すか、または開発する必要が出てくる。勿論その為には、既存の多く

の方法を学び、実践検証を行う必要があるが、それは占いそのものを学ぶ過程なので、今は特に難しく考える必要も無いだろう。
 ここでは、タロット占いに関する初学者にもお勧めできる、簡単な占い手順を紹介しよう。

タロットの下準備
 購入後未使用のタロットや、誰からか譲られたタロットを使用する場合、占いを始める前に下準備となる儀式を行う場合が多い。
 タロットの浄化・聖別の儀式だ。
 浄化とは、それ以前にタロットについた塵情報をクリアしたり、前使用者の影響をノー� �ルにしたりする作業だ。オカルティズムな言い方をするなら、穢れを払う行為である。
 聖別は、見えざることを占うタロットに、そのエネルギーを充填すること、または他の世俗的なものと分け隔て、聖化することと考えれば良いだろう。
 これらの作業を行う時、人によっては特別な言葉や所作を用いる場合もあるし、人によっては簡単な手順で済ませる場合もある。勿論、人によってはそれらの儀式を省略する場合もあるが、それらも特に決まりごととして存在するものではないので、自由であると考えよう。

2012年5月13日日曜日


 

 

セガ人事部人事企画チームマネジャー・長谷川泰弘さん

 


 

 ゲームソフトメーカーの老舗で、2001年まではゲーム機も製作していたセガ。就職希望の学生にもやはり、ゲーム好きが多いという。

 

 開発を担当するプログラマーなどの志望者には、自分が制作したゲームを提出してもらっている。手書きでアイデアをまとめたものや、パソコンで制作してすぐに遊べるものもあるが、人事部人事企画チームの長谷川泰弘チームマネジャーは「実際に売れるような作品を提出してくる人は残念ながらいない」と手厳しい。提出作品は、最近の携帯電話などを使ったソーシャルゲーム人気の高まりを受けて、つながりを意識したゲームが多いという。

 

2012年5月12日土曜日


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彼の愛ととりかえられるものはない。

Nothing replaced his love. - Tanaka Corpus

彼のおじいさんは何歳かしら。

How old might his grandfather be? - Tanaka Corpus

彼のいたずらにはご立腹だ。

He's angry at about his mischief. - Tanaka Corpus

彼に責められる非はないとされた。

He was absolved from blame. - Tanaka Corpus

彼には彼女の親切がわからない。

He is blind to her kindness. - Tanaka Corpus

彼には特別賞が与えられた。

He was awarded a special prize. - Tanaka Corpus

彼には少なからぬ経験がある。

He has not a little experience. - Tanaka Corpus

彼にはもう我慢ならない。

I can't put up with him any longer. - Tanaka Corpus

彼にはいつもびっくりさせられる。

I'm always surprised by him. - Tanaka Corpus

彼には、かわいらしい娘がいる。

He has a daughter who is pretty. - Tanaka Corpus

彼なら5000ドルは払える。

He is good for five thousand dollars. - Tanaka Corpus

2012年5月10日木曜日



        ‥‥‥‥‥‥ いまからでも、遅くはありません。 ‥‥‥‥‥‥

 プロローグ

  医師になって45年間、私は一度も病気になったことがありません。私自身が医師の治療を受けたのは、19歳のときにインフルエンザにかかったのが最初で最後です。
  私は現在もアメリカと日本の医療現場で働いています。医者というのは肉体的にも精神的にもハードな職業ですが、健康を保ちつづけていられるのは、ある健康法を日々実践しているからです。
  その健康法の効果を実感してからは、私が治療した患者さんたちにも実践していただいています。その結果はすばらしいものでした。それ以来、私の治療したガン患者のガン再発率はゼロ%といえるほどになったからです。
  いまから約35年前、私は世界で初めて、大腸内視鏡を使うことによって開腹手術することなくポリープを切除することに成功しました。これは当時、画期的なことで、この技術を持つ世界でただ一人の医師として、私は引っ張りだこになったのです。
  そして、まだ30代の若さで米国の大病院の外科胃腸内視鏡部長となり、朝から晩まで治療にあたってきました。
  気がついてみると、胃腸内視鏡外科医として、これまでに約30万例以上の人の胃腸を診てきたことになります。
  その膨大な臨床結果から、私は「健康な人の胃腸は美しく、不健康な人の胃腸は美しくない」ということを教えられました。こうした胃腸内の状態を、私は「人相」になぞらえて「胃相」「腸相」と読んでいます。健康な人の胃相・腸相はよく、不健康な人の胃相・腸相は悪いということです。
  胃相・腸相にもっとも大きな影響を与えるのは、食歴と生活習慣です。
  そこで私は診療の際に、患者さんたちに食歴と生活習慣に関するアンケートを行ないました。すると、よい胃相・腸相をしている人の食事や生活習慣と、悪い胃相・腸相をしている人の食事や生活習慣には、はっきりとした特徴があることがわかったのです。
  本書でご紹介するのは、こうした多くの患者さんたちの協力のうえにたどりついた「健康で長生きする方法」なのです。
  では、どうすれば健康で長生きできるのか――ひとことでいえば「ミラクル・エンザイム」を消耗しない生活を送るということでした。「ミラクル・エンザイム」というのは、かんたんにいうと、人間の生命活動を担っている5000種以上の「ボディ・エンザイム(体内酵素)」の原型となるエンザイムのことです。
 「エンザイム(酵素)」というのは、生物の細胞内に作られるタンパク質性の触媒の総称で、植物でも動物でも、生命があるところには必ずエンザイムが存在しています。
  私たちの健康は、日常何気なく行なっているさまざまな行為に支えられています。食事、水補給、運動、休養、睡眠、精神状態、――こうしたもののどれか一つにでも問題が生じれば、その影響は体全体におよびます。そんな人体の複雑なつながりを担い、健康に生きるために必要な恒常性を保つ役目を果たしているのが、ミラクル・エンザイムであると考えています。
  ところが現代社会は、その大切なミラクル・エンザイムを消費する要因に充ち満ちています。お酒やたばこといった嗜好品、食品添加物、農薬、さらに薬やストレス、環境汚染、電磁波などもミラクル・エンザイムを消耗させる原因となっています。そんな現代社会で健康を維持していくためには、自分の体の仕組みを知り、自分の健康は自分で守るという明確な意志を持って生活することが大切です。

 元気な百歳になる方法

  東洋医学には「未病」という言葉があります。健康とはいえないが、まだ病気になっていないという「病気の一歩手前」の状態を表す言葉です。現在の日本人には、こうした「未病」の人がとても多いのです。
  自分は健康だと思っている人のなかにも、慢性的な便秘や下痢、不眠症や肩こりなどに悩まされている人は少なくないはずです。こうした症状は、未病の体が送っているSOS信号といえます。「いつものことだから」と軽く見ていると、大きな病気に進行してしまう危険性だってあるのです。

  元気に生活している百歳の人と、寝たきりの百歳の人、その違いを生んだのは年齢ではありません。両者の違いは、それまでの百年間をどのように積み重ねてきたのかによって生じるのです。ひとことでいえば、健康でいられるか否かは、その人の食事・生活習慣次第だということです。
  では、どのような生活習慣を身につければ、健康で長生きできるのでしょうか。

 流行の健康法にはウソがいっぱい

  一般的に健康によいといわれているもののなかには、実際には健康に害を及ぼすものがたくさん含まれています。
  たとえば、あなたは次のような健康法を信じて実践していませんか?

・腸のために毎日ヨーグルトを食べるようにしている。
・カルシウム不足にならないよう、毎日牛乳を飲んでいる。
・果物は太りやすいので控え、ビタミンはサプリメントでとるようにしている。
・太りすぎないよう、ごはんやパンなど炭水化物はなるべく控えるようにしている。
・高タンパク低カロリーの食事を心がけている。
・水分はカテキンの豊富な日本茶でとるようにしている。
・水道水は残留農薬を抜くために、必ず一度沸騰させてから飲んでいる。

2012年5月9日水曜日


グランプリ [省エネ・省資源「地産地消からフードマイレージ」] 東久留米市 市民環境会議 くらし部会「エコキッズ プラン2011」

子どもたちが地元産食材でエコランチ&フードマイレージを学ぶ
活動概要:低炭素型まちづくりの一環として省エネ・省資源活動を家庭・学校・行政と協働で展開。「エコキッズプラン」では、市内在住の小・中学生を対象に、地元産の食材を使ったエコランチ作りを地域栄養士会と協力して指導。食材の産地を調べてフードマイレージを表した地図も作成した。
受賞者の声
環境問題は、子どもたちの意識を変えないと変わらないと思います。地球温暖化防止のためにできることを、子どもたちと共に続けていきたいです。

準グランプリ [新宿の環境学習応援団「まちの先生 見本市」] 特定非営利活動法人 新宿環境活動ネット

2012年5月7日月曜日


 私は空想が好きです。妄想ではなく。

 私が高校時代によく空想していたことは、人が鳥のように羽ばたいて空を飛ぶことです。半分は受験生の現実逃避でしたが、制御系の大学に進学して、現在、生物を真似た集積回路の研究をしていることと(多分)無関係ではないです。この羽ばたき飛行機はオーニソプター(Ornithopter)と呼ばれ、レオナルド・ダ・ヴィンチのデザイン画で有名なように古くから研究されています。最近ではラジコン玩具も販売されており本当に楽しい時代になりました。しかし、人類は未だ人の輸送手段としての羽ばたき飛行機の開発には成功していません。羽ばたきは空を飛ぶために必要な揚力と推力を同時に発生しますが力の伝達効率が悪く、結局人類はグライダーのような静止翼による揚力とプロペラやジェットエンジンによる推力とを分離するこ� ��で飛行能力を獲得できました。人が羽ばたきで飛行できない理由は結局のところ重さです。実際、地球上で最大の翼を持つワタリアホウドリで体重は精々6.3~11.3kg、この体重を飛行させるのに必要な翼開長が2.5~3.5mです。このサイズになるとグライダーのように一旦飛び立てば翼を動かす必要は殆どありませんが、問題は離陸です。テレビでアホウドリの離陸の映像を見たことがありますが、あまりの必死さに不覚にも笑ってしまいました。それだけアホウドリの離陸は大変ということです。つまり、アホウドリのサイズが地球上で羽ばたいて飛行する生物の進化の限界だとも言えます。

2012年5月6日日曜日



<バグダッド・カフェ<完全版> を観ました>

原題:BAGDAD CAFE´
製作:1987年ドイツ


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恒例のTSUTAYA発掘良品作品のご紹介です。
今回は第18弾より「今も多くの映画ファンを魅了し続けている、80年代のミニシアターブームを代表する傑作」

より、「バグダッド・カフェ<完全版>」です。

題名だけはすごく有名で、私も前にお勧めしてもらったことがあったかもしれません。
イメージとしては「バグダッド」…という名前もあって、古くて、砂っぽくて、休日の午後のような、ゆるーい時間の流れている作品なのかなぁと、何となく思ってしまっていました。
ある意味間違ってなかったというのも、観て思ったけど(笑)!!

2012年5月4日金曜日


バイオロギングは、まだ始まったばかりの先端的なテクノロジーです。自然のままの動物から取得されたバイオロギングのデータは、ほとんどが今まで知られていない新しい知見をもたらします。その解析から、いま、こんなことが発見されているのです!

2012年の発見 †

エンペラーペンギンのタイムリミット 〜海鳥いつ戻るシリーズ その2〜 †

2012年1月4日 報告者 塩見こずえ(東京大学大気海洋研究所)

肺呼吸の潜水動物は、餌獲りや移動を水中で行う一方で、呼吸のためにいつかは必ず水面に戻らなければいけません。水中に長く滞在すればその潜水での獲得餌量や移動距離が増加することを期待できますが、その分潜水後の回復に時間がかかり、長い時間スケールでの効率が低下する可能性も高まります。したがって「いつ潜水をやめるべきか」という決断は潜水動物にとって単純な問題ではなく、常にジレンマを抱えているように思われます。

このような背景から、潜水時の最適な時間配分や採餌戦略について、理論モデルや実測潜水データを用いて論じた研究が数多く行われてきました。それらの先行研究においては、時間パラメータとして主に潜水時間やボトム滞在時間が使われています。行動の「結果」であるこれらのパラメータは、エネルギー収支や生理的負荷を考える上で、もちろん必須の情報です。しかしながら、特に数百mを超えるような深い潜水では、水面への浮上開始から実際に水面に到着するまでの時間差が大きくなるため、「いつ水面へ向かい始めるか」という決断をするタイミングもまた重要なのではないかと私たちは考えました。

そこで、鳥類の中でもっとも潜水能力の高いエンペラーペンギンを対象に、潜水終了決断時間に着目して潜水データを解析しました。用いたデータは、採餌トリップ中の個体10羽(グループA)、ペンギン牧場と呼ばれる半野生環境(※)に置かれた個体3羽(グループB)から取得されたものです(写真1)。

※ 定着氷上に設置した人工柵の内側に潜水穴が開けられている(写真2)。柵内に入れられたペンギンはこの穴から自由に潜水を行うことができるが、周囲に他の出口はないため、必ずこの柵内に戻ってくる。潜水生理実験を行う目的で考案された実験系。

   写真1:ロガーを付けられたエンペラーペンギン

   写真2:ペンギン牧場。穴の側に立っているのがエンペラーペンギン

「決断時間」を水面へ引き返し始めた時間と定義すると、グループAでは、深度によらず決断時間に上限が存在しており、5~6 minまでに水面へと戻り始めていました。しかし一方で、グループBの多くの潜水では決断時間がこの上限値を大幅に上回っていたことがわかりました(max. 11.7 min)。なぜ、このような違いが生じたのでしょうか。

肺呼吸潜水行動は最終的には生理的要因によって制限されている可能性が高いため、水中での運動コストの指標であるストローク回数を調べました。解析の結果、グループBではストローク頻度がグループAよりも小さく(0.45回/秒 versus 0.79回/秒)、決断時間の上限値におけるストローク回数はどちらのグループでも同程度であったことがわかりました。ストローク回数は、潜水中の酸素消費量と相関していることが過去の研究で明らかにされています。つまり、エンペラーペンギンの潜水においては水中での経過時間そのものではなく、筋肉の酸素消費量が水面へ戻り始めるタイムリミットに関わっていることが示唆されました。単位時間あたりのストローク回数や水中での代謝率を減少させることが潜水時間の延長に貢献するという説はこれまでにも提唱されてきましたが、エンペラーペンギンの行動から、それらが潜水終了の決断に影響を及ぼしている可能性が示されたのです。エンペラーペンギン以外の潜水動物でも水面へ戻り始めるタイミングを調べることによっ� �、新たな潜水戦略が見えてくるかもしれません。

ちょっと言ってみたくて「海鳥いつ戻るシリーズ」と書いてしまったのですが、得られた成果はその2までしかありません。すみません。 特に意識したわけではなかったのですが、今回偶然にも空飛ぶオオミズナギドリと水に潜るエンペラーペンギンという2種の海鳥で「いつ戻り始めるか」を調べました。彼らはそれぞれに異なる外的・内的制約の下で、戻るべきか戻らざるべきかを決断しているようです。一方、どちらの種においても移動速度は狭い範囲に収まっていました。これはおそらく流体力学的な制約によるものと考えられますが、このように速度を大きく変化させること(例えば、遅れを取り戻すために急ぐ、など)は好ましくないという条件を考慮すると、移動開始のタイミングの重要性はより一層増すように思います。今後も「タイミング」という視点を意識しながら、様々な移動のメカニズムを調べてみたいと考えています。

Shiomi K., Sato K., and Ponganis P.J. (2012). Point of no return in diving emperor penguins: is the timing of the decision to return limited by the number of strokes?
Journal of Experimental Biology, 215, 135-140
→ Abstract & 『Inside JEB』の紹介記事

2011年の発見 †

コシャチイルカにおける吸盤タグへの反応評価 †

2011年10月7日 報告者 酒井麻衣(東京大学生命科学ネットワーク)

 遊泳中の鯨類へデータロガーを装着する時、吸盤タグをクロスボウやポールで装着する方法が用いられてきた。多くの場合、対象の動物は中程度または無視してよいほどの反応しかしないため、装着は成功する。しかしハンドウイルカのように、装着個体が跳躍を繰り返し、群れの他のメンバーも同様の反応をし、長期間ボートに近寄らなくなるなど、とても強い反応を示してこの方法が難しい種もある。

 コシャチイルカは、体長1.75mほどの沿岸性の小型ハクジラで、アフリカ大陸の南東部にのみ生息する。本種の生態や行動についてはわかっていないことが多い。本研究では、遊泳中のコシャチイルカへの吸盤タグの装着が有効かどうかを調べるために、タギングへの動物の反応を、目視観察とビデオ撮影により評価した。

 タギングは、ボートの船首波に乗っている(バウライド)個体を対象に、個体が呼吸のために浮上した瞬間を狙ってポールを用いて行った。タグが個体に当たった否か、タギング前後の対象個体の行動、群れの状態、バウライドする個体数を記録した。

 一度にバウライドするイルカは1頭から7頭だった。イルカたちは時折横向きに泳いで上方を確認しているようで、タギング担当者やポールが動くと、船首から3~5m離れ、呼吸をしてからまた船首に戻ってきた。ボートが、装着に失敗して浮いているタグを回収しに引き返す間、ボートの周りに残っている個体が多く、次の船首波を待っているようだった。その場合は同じ群れに対して繰り返しタギングを試みた。

 26回のタギング試行を行い、16回は個体に当たり、10回は当たらなかった。吸盤が装着された例はなかった。コシャチイルカは体が小さく動きがすばやいために、装着時に皮膚と吸盤の間の水をすべて追い出せずに吸引力を生めなかったためと考えられた。タギング前後のバウライド個体の数はほぼ同じだった。対象個体はタグが当たっても当らなくても直後に潜水したが、すぐに戻ってきてバウライドを再開した。タグを装着できなかったので推測ではあるが、当たった時と当たらなかった時で反応に違いはなかったため、対象個体は視覚的・聴覚的な刺激へ反応していて、物理的接触への反応は少ないと考えられる。反応の内訳は、「無し」が4%、「低」が92%、「中」が4%で、強い反応はなく、先行研究における他種の反応評価と比較 しても、コシャチイルカのタギングへの反応は強くなかった。また、近縁種で同じようなサイズのセッパリイルカでは吸盤タグによる装着の成功例があるため、コシャチイルカは、この方法が有効な種であると考えられた。

図1.跳躍するコシャチイルカ

図2.すぐ近くに来るのに…タグがくっつかない。イルカたちは"度胸試し"を楽しんでいるかのようだった。

 Mai Sakai, Leszek Karczmarski, Tadamichi Morisaka, Meredith Thornton. 2011. Reactions of Heaviside's dolphins to tagging attempts using remotely-deployed suction-cup tags. South African Journal of Wildlife Research, 41(1): 134–138.

コビレゴンドウの遊泳速度・加速度の測定 †

2011年8月11日 報告者 酒井麻衣(東京大学生命科学ネットワーク)

 コビレゴンドウは体長3.5~7mになるハクジラで、600mから800 m潜水し主にイカを採食することで知られる。これまでバイオロギング手法にて、鉛直移動速度の急激な上昇と鳴音の増加が深い潜水時に記録され、採餌が示唆されてきた。しかし、より詳細に本種の採餌戦略や潜水生理を知るためには、遊泳速度と加速度の同時測定が必要である。

 これまで、鯨類へのデータロガーの装着には、吸盤が主に用いられ、捕獲できないような種にはボウガンやポールなどで遊泳中の個体に装着するという方法がとられてきた。吸盤タグには1.複数の吸盤を持つタイプ(体軸と平行に装着できない可能性大)、2.吸盤1つとデータロガー本体がプラスチックチューブで連結されているタイプ(体軸加速度の測定不可)、3.吸盤1つとロガー本体が固定されているタイプがある。本研究では、遊泳速度と加速度を同時に測定できる3のタイプ(図1)を用いた。

  図1:本研究で使用した吸盤タグ

 ハワイ島沖のコビレゴンドウのワカオス3頭に、ポールを用いて船首から吸盤でデータロガーを取り付けた。装着時、データロガーが体軸と平行にならなかったものの(図2 a, c, e)、数分後には水流に押されてロガーが体軸と平行になり(図2 b, d, f)、速度・加速度が正確に記録できることが確認できた。

  図2:吸盤タグ装着の瞬間→数分後の様子(Tag#1: a→b; Tag#2: c→d; Tag#3: e→f)

データロガーのうち1つは少なくとも21時間は動物から脱落することはなかった(そのロガーは残念ながら回収できなかった)ため、このタイプのタグが本種に有効であることもわかった。合計で37分のデータを収集し、本種で初めて遊泳速度と加速度を同時に測定することに成功した。遊泳速度と加速度のデータから呼吸行動(図3)、ストローク&グライド泳法(図4)、連続ストローク泳法(図5)が抽出できた。このタイプのタグは、コビレゴンドウの行動の詳細や物理特性などを理解するのに役立つだろう。

  図3:呼吸行動。黒い矢印が呼吸の瞬間を示す。

  図4:ストローク&グライド泳法。灰色部がストロークを示す。

  図5:連続ストローク泳法

Mai Sakai, Kagari Aoki, Katsufumi Sato, Masao Amano, Robin W. Baird, Daniel L. Webster, Gregory S. Schorr and Nobuyuki Miyazaki. 2011. Swim speed and acceleration measurements of short-finned pilot whales (Globicephala macrorhynchus) in Hawai'i. Mammal Study. 36: 55-59.

オオミズナギドリのスケジュール管理  〜海鳥いつ戻るシリーズ その1〜 †

2011年12月5日 報告者 塩見こずえ (東大大気海洋研)

私が関東での暮らしにおいて何よりも辛いと感じるのは、飲み会の後、電車で帰らなければならないことです。家からどのくらい離れた場所で飲んでいるかによって終電時刻は変わるので、それを逃すことがないよう気を付けるのがめんどくさいのです(電車の揺れで酔いがひどくなるのも嫌いです)。時には飲み足りないこともありますが、終電を逃せば心身もしくは財布にダメージを受けることになるので、だいたいちゃんと帰ります。遠ければ早めに飲み会場を去るし、近ければ遅くまで粘ります。

つい前置きが長くなりましたが、今回私たちは、繁殖地から海へ餌獲りに出かける海鳥が、これと似たような行動調節を行っていることを発見しました。

対象種のオオミズナギドリは、育雛期は日中に繁殖地にいることはなく、日没後数時間以内に餌獲りから戻ってくることが昔から知られていました。私たちがGPSロガー(写真1)を用いて取得した移動経路データを見ると、採餌海域から島までの距離は97〜457 kmと様々でしたが、島に到着した時刻と距離との間に相関関係はなく、確かに日没後数時間以内に集中していました。

  写真1:GPSロガー(Technosmart社製, イタリア, 約25g)

  写真2:を、この背中に防水テープで装着する

一方、経路データから求めた島への接近速度が一定値以上になった時点を「帰り始め時刻」と定義すると、その時刻と距離との間に強い負の相関があることがわかりました(遠いほど早く帰り始める)。オオミズナギドリの平均移動速度は27.8km/hであったことから、島までの所要時間は移動距離が1 km増えるごとに0.036 h(=1/27.8)増加することになります。この値は、島に帰り始める時刻とそのときの島までの距離との関係を表すモデル (帰り始め時刻)=-0.036×(帰り始め距離)+0.84 の傾きにぴったり一致します。

つまり、オオミズナギドリは洋上の餌場から繁殖地がある島までの所要時間の変化に応じて、島へ帰り始める時刻を調節していたということです(下図参照)。このような行動により、島までの距離がトリップごとに大きく異なっているにも関わらず、一定の時間帯に到着することができるようです。

  図:遠いほど早く帰る、の概念図

動物たちの生活史においては、繁殖、採餌、捕食者回避など、適切な時に適切な場所にいなければ達成できない目的が数多くあります。時々刻々と変化する欲求や目的にしたがって様々な場所を行き来する動物にとって、移動のタイミング能力は重要な意味をもつと言えるのではないでしょうか。上記のオオミズナギドリで見られたような、移動開始時刻の柔軟な調節能力は、これまで人間以外で報告されたことがありません。ある場所への到着時刻の集中は無脊椎動物から哺乳類まで様々な種で確認されているので、そういった調節は他の動物でも行われているのかもしれません。

Shiomi, K., Yoda, K., Katsumata, N., Sato, K. (2012) Temporal tuning of homeward flights in seabirds.
Animal Behaviour, 83: 355-359
→ Abstract & 『Featured Articles』での紹介記事

ペンギンの頭の加速度記録から捕食の瞬間を捉える †

2011年11月25日 報告者 國分亙彦 (国立極地研究所・オーストラリア南極局)

 高次捕食者の捕食行動がいつどこで、どのくらい頻繁に起こっているか、詳しく知ることは、かれらの捕食にとってどのような環境が鍵となっているかを理解するうえで重要である。しかし、野生の高次捕食者の捕食の瞬間を、長時間、連続的に記録することは、これまで難しかった。そこで私たちは、「野生のペンギンが水中で餌をついばむときには、強く頭が振れるだろう」との予測のもと、近年開発された小型加速度記録計をペンギンの頭に取り付けることで、かれらの捕食の瞬間を捉えようと考えた。捕食者のアゴや頭の急加速の記録を、捕食の指標として用いようという同様の試みは、すでに飼育下のアザラシ(Suzuki et al. 2009)や野生のオットセイ(Iwata et al. 2011)等、大型の海棲哺乳類で、成功をおさめている。今回私たちは、頭の3軸の加速度に加え、捕食を裏付ける資料として、カメラロガーを同じ個体に取り付け、餌と出会っているか否かを同時に調べた。また、他の個体では、頭と背中の加速度を2つの加速度計で同時に記録し、頭の動きと体軸の動きを比べた(図 1)。

図 1. 頭と背中に加速度記録計を取り付けたヒゲペンギン

 南極半島域に生息する、ヒナをガード中のヒゲペンギンとジェンツーペンギンを対象に、調査を行った。ヒゲペンギン2採餌トリップ、ジェンツーペンギン5採餌トリップ分の、頭の加速度と水中写真の同時記録、そして、ヒゲペンギン7採餌トリップ、ジェンツーペンギン7採餌トリップ分の、頭と背中の加速度の同時記録を得た。 ここで、ちょっと取り付けの場面を想像してみて、「ペンギンの頭に加速度記録計を取り付けるのは、ペンギンが嫌がりそうだし、なかなか難しそうだな」と思われる方がいるかもしれない。しかし日本で普通に市販されている軍手の甲の一部を四角く切り取ったうえですっぽりとペンギンの頭にかぶせ(クチバシは中指の部分に収まる)、甲の穴の部分を利用して、細かく切ったテープで加速度計を固定すると、ペンギンは特にあばれたり苦しがったりする様子もなく、機器の安定性もよく、取り付けは無事成功した。

 さてデータを解析すると、予想通り、ペンギンは潜水中、時折、頭を上下前後左右に激しく動かしていた(図 2: 解析手法はSakamoto et al. 2009によった)。それはときに約3秒周期の体軸の揺れ(深度記録で見られる、「ジグザグ」に相当)と共に起こっていた。

図 2. 上から、ジェンツーペンギンの2潜水分の、深度、3軸の頭の加速度、3軸の頭の加速度の周波数成分と強度、体軸の加速度の周波数成分と強度の時系列。2回目の潜水(右側)の潜水ボトム中に、頭を上下前後左右に激しく動かしている。

 また、カメラロガーには、ペンギンが時折ナンキョクオキアミの群れに突っ込んで捕食している様子が写っていた(図 3)

図 3. カメラロガーに写ったナンキョクオキアミの画像。加速度記録計を取り付けたペンギンの頭が写っている。

 そこで、1潜水中の頭の振れの回数(3軸)と、餌の写った頻度の関係を調べてみると、前後方向の頭の振れの回数と、餌の写った頻度で相関がもっとも高かった。また、餌の写ったタイミングと、前後方向の頭の振れのタイミングを比べると、平均89.1%の確率で、餌の写った前後2.5秒以内に、頭の振れが起こっていた。カメラの画像は時として暗く、餌の有無を判別不可能なことがあった(平均23.1%の潜水)。これらのことは、前後方向の頭の振れは、ペンギンの捕食の瞬間の指標として、長期間、連続的に使えることを示している。

 さてペンギンのトリップ中に、捕食はどのような形で起こっていたのだろう。図4に、ペンギンの頭の加速度から得た捕食行動の時間変化の例を示す。

図 4. 上から、1採餌トリップ中の、潜水深度、頭の加速度から得た捕食頻度、深度のジグザグ回数の頻度の時間変化。ヒゲペンギンの例。

 ペンギンの捕食行動は、採餌トリップ中に、時間的に狭い範囲で集中的に、何回かに分かれて起こっている様子がわかる。このことは、パッチ状に分布するオキアミを、ペンギンが移動しながら捕食していることを示しているのだろう。今回の手法を、GPSロガーなどと組み合わせて利用すれば、餌との遭遇パターンを、3次元的に描くことも可能となるだろう。また、この方法は、陸上の生態系も含め、捕食に頭の動きをともなう高次捕食者の捕食パターンを記録するのに、有用だろう。

 最後に、南極でのフィールドワークに先立ち、加速度計をペンギンの頭に取り付ける方法を、名古屋港水族館のご厚意により、飼育下のジェンツーペンギンで実験させていただきました。同館の内田至館長、栗田正徳氏をはじめ、職員の方々には、多大なご協力をいただきました。この場を借りて厚く感謝いたします。

Kokubun N, Kim J-H, Shin H-C, Naito Y and Takahashi A (2011) Penguin head movement detected using small accelerometers: a proxy of prey encounter rate. J. Exp. Biol. 214: 3760-3767

揚子江におけるスナメリの分布変化 †

2011年11月16日 報告者 木村里子(京都大学)

 対象とする動物が、いつ、どこにいるかを知ることは、生態学における基礎的な問題であり、特に保全管理の上で非常に重要である。中国揚子江には、ヨウスコウスナメリNeophocaena asiaeorientalis asiaeorientalisと呼ばれる、スナメリの淡水性亜種が生息する。近年個体数が激減しており、早急な保全管理が不可欠である。しかし、野生下における本種の基礎的な生態情報が不足していた。

 本研究では、揚子江中流域とポーヤン湖の接続域(77km)(図1)に生息する個体群を対象とし、地域的な分布変化を明らかにすることを目的とした(論文1)。

図1.対象水域の地図。(B)のように、水域の特徴ごとに5-7kmの区分に区切ってスナメリ検出数を比較した。Jは接続域、Mは揚子江本流、Sは揚子江支流、Bは橋梁がある水域、Dは掘削が実施されている水域である。

音響データロガー(ML200-AS2、マリンマイクロテクノロジー社製)を用いて、2007年5月〜2010年8月に、曳航音響調査を11回実施した。スナメリの片側検出距離は約300mと推定された。また、分布に影響を与えうる要因として、船舶航行、底砂採取、橋梁、餌生物(魚類)の分布の4点を検討した。餌生物(魚類)の分布は、魚群探知機(HE-6100, HONDEX) を用いて水域毎の魚類検出の有無を調べた。

 各調査ラインの観測範囲における単位距離毎の平均検出数は、0.53〜1.26頭/kmであり、経年的な個体数密度の増加、減少傾向は確認されなかった。スナメリの分布は季節的に変化し、5, 8月には揚子江本流の接続域で、11, 2月にはポーヤン湖内で検出が多くなることがわかった(図2)。

図2.各水域におけるスナメリの平均検出数

魚類が検出された水域におけるスナメリの検出割合は、非検出水域より有意に高かった。しかし、船舶航路や橋梁付近でスナメリ密度が低下したり、底砂採取禁止期間に密度が増加したりする傾向は見られなかった。本種の保全を考える上で、餌生物(魚類)資源の管理がより重要である可能性が示唆された。

 現在、本手法をより広域に拡大し、武漢から上海までの1100kmにおいて調査を実施している(論文2)。2006年11月、2008年3、12月、2009年6月の結果から、群れサイズが大きく変化しないこと、および季節的な分布変化が示唆されている。今後、調査を継続し、広域的な分布変化をより詳細に明らかにする予定である。

1.Kimura, S., Akamatsu, T., Li, S., Dong, L., Wang, K., Wang, D., and Arai, N. (2011), Seasonal changes in the local distribution of Yangtze finless porpoises related to fish presence, Mar. Mamm. Sci. in press (published online).

2.Dong, L., Wang, D., Wang, K., Li, S., Dong, S., Zhao, Z., Akamatsu, T., Kimura, S. (2011), Passive acoustic survey of Yangtze finless porpoises using a cargo ship as a moving platform, J. Acoust. Soc. Am. 130, 2285-2292.

鳥類の最長潜水記録更新! †

2011年8月15日 佐藤克文(東京大学大気海洋研究所)

 肺呼吸動物が水中に潜る場合、潜水直前に体内に蓄えた酸素を使うことになる。酸素が足りなくなると、嫌気呼吸による無酸素運動も行うが、嫌気呼吸では、単位重量のグルコースからATPを生産する効率が有酸素呼吸に比べて悪い。また、嫌気呼吸によって生じた乳酸を分解するために、潜水後に長時間水面に滞在して休息しなければならない。それらの理由から、連続して潜水する動物は、有酸素呼吸でほとんどの代謝をまかなっていると予想されている。潜水能力に長けたペンギン類の中で、最大種であるエンペラーペンギンを半閉鎖実験系で潜らせて測定した過去の実験により、潜水時間が5.6分間を越えると血液中の乳酸濃度が急上昇することが判明している(Aerobic Dive Limit: ADL, Ponganis et al. 1997)。しかしながら、野外環境下で潜水を繰り返すエンペラーペンギンの潜水行動記録によると、ペンギンはしばしば5.6分間を越える潜水を行っていた(Kooyman and Kooyman 1995)。エンペラーペンギンが野外環境下で潜水を行っているときのADLは5.6分よりも長いのだろうか?そもそもエンペラーペンギンはいったいどれくらい長く潜っていられるのだろうか?

2012年5月3日木曜日


30pt

サンゴの白化による海の砂漠化

白化したサンゴは、繁殖を行う事も移動する事もできずその場所で崩れてしまいます。

2012年5月1日火曜日


河川の中上流部の渓相についての考察  別冊 砂礫浜を考える(静岡の前浜の場合)その1

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河川の中上流部の渓相についての考察

別冊 砂礫浜を考える(静岡の前浜の場合)その1

2011年5月3日掲載

はじめに

 先の別冊「安倍川大河内堰堤と白濁化現象について」を記述するため「静岡河川事務所」のHP(ネット上のホームページ、以下の文章でも同じように略します)を幾たびか見る機会がありました。
 その時まで知らなかったのですが、海岸線もまた「河川事務所」の管轄となっているのです。 ただし、静岡の前浜である「大浜」「下島」「大谷」「久能」「折戸」「三保」などの海岸線は「静岡河川事務所」の管轄ではありません。 何故か「静岡河川事務所」の管轄は安倍川からは離れた場所の海岸となっています。
 そのHPの表現によると、河川から流下する土砂は海岸に至って「漂砂」と呼ばれるようになります。そしてそれが、海岸線を形成する砂浜の元になっていると考えられているようです。

 そこで改めて、静岡の前浜に限らず日本各地の海岸の砂浜について調べたところ、各地の砂浜が急速に失われつつある事を知りました。もちろん私も、各種の報道によってそれらの状況を少しは知っているつもりでした。 しかし、幾つかのHPを見て、思っていた以上に深刻な状態に陥っている海岸が多い事を知りました。
 実際、静岡の前浜もそれらの海岸と同様にひどい事になっていました。海岸線のすぐ近くを通る150号線を何度も走ったことがありますから、私も、それらの海岸にテトラポットが投入されていることは承知していました。しかし、前浜の最近の状況を正確に把握していた訳ではありませんでした。

 観察のために静岡の前浜を幾たびか訪れましたが、その状況は全く驚くべきものでした。
 すでにほとんどの波打ち際がテトラポットに覆われ、列をなして並べられたテトラポットの隙間に自然海岸が僅かに残されているばかりなのです。三保の松原ごしに見る富士山の景色でさえ、その海岸の波打ち際はすでにテトラポットが設置されているのです。状況は危機的であると言って差し支えないと思います。
 今からおおよそ45年前には、それらの海岸にテトラポットの姿は全く無かったと記憶しています。

 そこで、私は砂浜の問題を深く考えるためにネットの中から資料を探し出し、さらに調査してみました。
 分かった事は、砂浜が失われているのは全国的な現象であること。それに対して必ずしも適切な対応が取られていないらしいこと。海岸や砂浜については多くの研究が行われている事。しかし、肝心かなめの、砂浜が生成され、消滅する現象の詳細は解明されていないらしいこと。 これらのことがネットを調べた限りでの成果でした。

 なかでも、どのようにして砂浜が生成されるのかが正確には分かっていない事は全く意外でした。これでは良い対策を用いることが出来ないのは当然です。
  探し出した資料の中では、「砂浜」は波によって出来る。と言うのが一般的な説明でした。また、「砂浜」を作り出す土砂は海岸流によって運ばれる、とするのも普通でした。でも、これらをそれ以上に詳しく説明した文章は見つかりませんでした。 唯一つ、ちょっと違っていたのは「砂浜」の砂は波によって打ち上げられていると言う文章でした。

 もしかすると、ネットのどこかに砂浜の生成について詳細に記述した文章があったかもしれません。或いは、ネットには無くてもどこかの研究論文や書物に記載されているかもしれません。でも残念な事に、私はそれを知ることが出来ませんでした。
 ですから、それらのことが解明されていないことを前提にして、以下の文章は記述されています。

 以下の考え方は、現段階では全て仮説に過ぎません。このような説を唱えているのは、おそらく私一人ではないかと思います。
 しかし、以下の仮説は砂浜の生成と消失を矛盾なく説明出来ています。しかも、河川との関連についても従来にはなかった考え方も含めて、現実の現象と引き比べて全く矛盾なく説明出来ます。
 この仮説によって全国の全ての場所の砂浜について説明出来るとは考えていません。しかし多くの砂浜の問題を説明できるのではないかと考えています。何より、静岡の前浜のそして三保の松原の砂浜について間違いなく説明出来ていると思います。

 ぜひ多くの皆さんにこの文章を読んで頂き、その内容を確認して頂きたいと思っています。そして、なるべく早く正しい対策を採用して、急ぎ砂浜を回復をして頂きたいと願っています。
 現在の静岡の前浜の状況は危機的です。テトラポットに囲まれて少しばかり残っている砂浜も、早くしなければ失われてしまいます。その後に残るのは無数のテトラポットと堤防からなる海岸線でしかないのです。 三保の松原も同じように、松原の根本を残して全てテトラポットに囲まれてしまうことでしょう。とにかく、急ぐ必要があると思います。

 以下に記述する文章では、「砂浜」を「砂礫浜(されきはま)」と一括して呼ぶことにします。また、同様に「砂」も「砂利」もまとめて「砂礫」と呼びます。
 「砂浜」と言ってもその砂にはいろいろあります。全くの砂ばかりの「砂浜」の所もあれば、静岡の前浜のように、砂と砂利が混じっている「砂浜」もあります。当然、砂と呼ぶのはどうかと思う砂利ばかりの浜辺もあることでしょう。ここでは、それらの土砂によって浜辺が形成される仕組みを記述するつもりです。
 「砂」も「砂利」も同じ仕組みで浜辺を形成していると考えています。

波の力と陸地
 水の移動によって土砂が移動することは、河川を考察した本編で何度も繰り返して説明して来ました。では、海で発生している波の場合はどうでしょう。もちろん、波の場合でも、水が移動していますから土砂を移動させていると考えられます。

 海岸の波が、海上を漂う流木や様々なゴミを海岸に打ち上げているのはよく知られたことです。これらの波は、海底の土砂も同様に海岸に打ち上げています。
 単純なモデルで考えてみます。
 海の中で発生した波は水の底の土砂を巻き込んで陸上に乗り上げています。陸上に乗り上げた波はその形を変えますが、やはり土砂と一緒に水中に戻っていきます。全ての波が土砂を陸上に移動させる訳ではありません。小さな波では土砂を陸上に打ち上げることが出来ないのは言うまでもありません。
 また、波によって移動するのは比較的小さな土砂に限られています。普通、岩や大きな石が波によって陸上に運ばれる事はありません。

 波と共に移動する土砂の量と、波の水量との量的関係を私は承知していませんが、次のことは言えるかと思います。
 陸に打ち上げる波に対して、陸から退去する波は重力の力が加わるので、打ち上げる時より多くの土砂を海中に引き込む力があると考えられます。重力がある分、土砂はより多く水中に落下して行くと考えていいと思います。波は陸上から土砂を海中に引き込むのが普通の姿なのだと思います。 仮に波が無いとしても、陸地の高い場所にある土砂が低い場所に移動していくのはあたり前のことです。
ですから、波は陸地を浸食するのが普通だと考えます。

砂礫浜の出来方
 「砂礫浜」の海岸で波を眺めていると、波は寄せては返す光景を繰り返しています。
 海の中から少しづつ立ち上がった波は大きくなりながら岸辺に近付き、最も大きくなった後に砕けます。砕けた後も岸辺に押し寄せようとする水の勢いは止まりません。砕けた波は泡だらけの水の流れとなって、水面より高い陸地にまで乗り上げて来ます。 やがて、陸上まで乗り上げた水の流れもどこかで勢いを止めて、再び海に戻っていきます。

 良く見ていると、陸上にまで押し寄せた海水の全てが海に戻っていくのではありません。押し寄せた海水のいくらかの量は砂礫浜にしみ込んでいます。押し寄せた海水の先端部で、ほとんどの海水が浸み込んでしまう光景を見ることもあります。
 砂礫浜の表面を流れて海に戻っていく水の量は、陸上にまで押し寄せて来た時の水量よりも少なくなっていると考えられます。戻ることのなかった海水は、砂礫浜の地中を海面とほぼ同じ高さまで浸み込んで行くのでしょう。

 このような波が見られる時に、押し寄せた波が砂礫をも巻き込んで陸上に乗り上げているとしたら、それらの砂礫の全てが海中に戻って行くことはないでしょう。
 なぜなら、陸上に乗り上げた時の海水量よりも砂礫の表面を戻って行く海水の量の方が少ないからです。海水と共に海に戻って行くはずの砂礫は、表面を流れ下る海水が少なくなるために、その内の幾らかが砂礫の表面に残されるのです。
 一回の波により残される砂礫の量は僅かな量に違いありません。でも、打ち寄せる波はいつ果てるともなく続きます。これが砂礫浜に砂礫が打ち上げられ積み上げられる仕組みです。

 波の力によって海水中で砂礫が移動したとしても、それだけでは「砂礫浜」は出来ません。どうしても、陸上に砂礫が打ち上げられなければ、そして、その場に留まることがなければ「砂礫浜」にはなりません。
 砂礫浜に堆積した砂礫は、波によって打ち上げられたまま海に戻ることなくその場に取り残された砂礫なのです。

 打ち上げられた砂礫が海に戻らなくなるのは、海水が砂礫浜に浸み込む場合だけではないと思います。打ち上げられた場所の地形によっても、砂礫が戻らなくなる事があると考えられます。 例えば、浜辺に土手状の地形があった場合では、そこを超えた海水も砂礫もそのまま水辺に戻ることはないと考えられます。

 このことをもっと広げて考えてみると、海水が浸み込むような場所や、海水がそのまま戻らない場所であれば、波によって打ち上げられた物は海に戻ることなく陸地にとどまると言えます。
  砂礫浜に打ち上げられるのは砂や砂利ばかりではありません。流木や様々な海面上の漂流物、つまりゴミも砂礫浜に打ち上げられます。
  同じことはテトラポットの海岸でも見ることが出来ます。テトラポットの上には大きな流木や大きなゴミが打ち上げられその場に残されます。 砂礫浜に砂礫が打ち上げられて残されるのも、ゴミが打ち上げられて残されるのも、全て同じ仕組みによるものだと思います。

 海底にある土砂は海流や波の力によって移動しています。でも、それらの土砂は海底でいくら移動したとしても砂礫浜を形成することはありません。それらの土砂を海底から陸地に打ち上げる波が無ければ砂礫浜は出来ません。陸地に打ち上げる波だけが砂礫浜を形成させるのだと思います。 

 さらに、砂礫浜を形成するためには砂礫が堆積した陸地がどうしても必要です。 砂礫を打ち上げる波があったとしても、岩盤やコンクリートで出来た陸地には砂礫浜は出来ないのです。打ち上げられた砂礫がその場に留まるためには海水が浸み込んで行く陸地が必要なのです。

 これらのことから、砂礫を打ち上げる波があり、その場所に砂礫の浜があった時に、砂や砂利が浜辺に打ち上げられ、砂礫浜を形成するのだと言えます。
 「砂礫浜」だから「砂礫浜」が出来る。これでは「砂礫浜」が出来る仕組みの解明になっていないと言われてしまいます。私もそう思います。

 例えば、手品師が「種も仕掛けもありません」と言いつつ左手に被せていたスカーフを取り去ると、そこにはきれいな造花が握られていたりします。もちろん見物客は種も仕掛けもある事を承知しています。
  砂礫浜は手品師に握られた造花のような物だと思います。砂礫浜が出来るためには「種」も「仕掛け」も必要です。ここでの「種」はもちろん「砂礫」です。そしてその「仕掛け」は一つだけではありません。
 ですから、ここに述べた以外の「仕掛け」について以下に考察していきたいと思います。 砂礫浜に砂礫が打ち上げられる過程は後からもう一度考えることにして、考察を先に進めます。

砂礫浜の消失
 各地で砂礫浜が消失しています。静岡の前浜も今や「風前の灯」と言っていい状態です。 砂礫浜の消失がなぜ起こるかは、前述の「砂礫浜の出来方」の延長で説明出来ます。